

今回は、今後の企業経営に関わる「採用の構造変化」について、少し踏み込んだお話をさせてください。
「媒体費を上げても応募が増えない」
「せっかく応募があっても、面接に来ない、連絡が途絶える」
という事象にお悩みではありませんでしょうか。この理由を改めてご説明します。
■ 「労働力」はどこへ消えたのか?(マクロ環境の限界)
ここ10年ほど、日本企業は労働力不足をなんとか「先延ばし」にしてきました。 その頼みの綱となっていたのが、「女性の就業率向上」と「シニア層の再雇用(定年延長)」です。
しかし、この2つの“バッファ(ゆとり)”は、すでに活用の天井を打ちつつあります。 女性の就業率はM字カーブが解消されつつあり、シニア活用も一巡しました。
さらに、最後の砦とされた「外国人労働者」も、円安や各国の賃金上昇により、 「日本が選ばれる国」であり続けられる保証はどこにもありません。
そして何より深刻なのが、「若年層の絶対数の減少」です。 この傾向は地方都市ほど顕著であり、少子化のスピードは加速の一途をたどっています。
つまり、「応募者(量)を確保することは、物理的にもう不可能」なのです。
「いつか景気が変われば、人が戻ってくる」 残念ながら、その未来はもう来ません。 私たちは今、採用における「戦い方」を根本から変えなければならない地点に立っています。
■ 「量」を捨て、「質」で勝つための3つの具体策
母集団が増やせないのであれば、取るべき戦略は一つ。 「出会った1人あたりの採用成功率(歩留まり)を極限まで高めること」です。
これからの人事に求められるのは、以下の3つの具体的なアクションです。
【戦略1】 応募対応の「超・スピード化」
売り手市場の今、求職者は同時に3〜4社に応募しています。 彼らが面接に進むのは、一番条件が良い会社ではなく、「一番最初にレスポンスをくれた会社」です。
- 応募通知から1時間以内に返信できていますか?
- 面接日程の調整メールを翌日に持ち越していませんか?
「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、現代の採用においては「冷めるスピード」が劇的に早くなっています。スピードこそが、最大の差別化要因です。
【戦略2】 「選考」から「口説き」へのマインドセット変革
多くの企業様が、いまだに「応募者をふるいにかける(選考する)」スタンスをお持ちです。 しかし、これからは「自社のファンになってもらう(関係性を深める)」スタンスが不可欠です。
- 事務的なメールではなく、個人の温度感が伝わるコミュニケーション
- 「何ができるか(スキル)」だけでなく、「どうなりたいか(キャリア)」への共感
応募者と深く丁寧な関係性を築くことで、他社との条件競争に巻き込まれず、「あなただから入社したい」と言わせる関係構築(エンゲージメント)が重要になります。
【戦略3】 「辞めない」環境づくりこそが最強の採用活動
いくら採用しても、定着しなければ穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じです。 特に若手層は、入社後の「リアリティショック」や「成長実感の欠如」に敏感です。
- 心理的安全性の確保
- 明確なキャリアパスの提示
- 長く働き続けられる制度設計
これらを整備し、「採用した従業員が辞めない会社/組織」を作ること。 これこそが、将来の採用コストをゼロに近づける唯一の方法です。
こちらの内容が、採用活動でお悩みの皆様にとって、新しい戦略を立てる上でのヒントになれば幸いです。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございます。
今後も随時、情報提供をさせていただきたいと思います。
ご要望などございましたら、
Webフォーム、またはお電話からお気軽にご相談ください。
今後ともよろしくお願いいたします。



